大学のご案内

学長挨拶

次世代の医療界に貢献する自立した薬剤師の育成を目指して

京都薬科大学の起源は、1884(明治17)年春に京都市中京区富小路夷川下ルに創立された京都私立独逸学校に遡ります。ドイツ人教師・ルドルフ・レーマンの薫陶を受けた少壮の門人達により設立され、ドイツ語を通じて西洋の医学・薬学を修得することが目的とされました。爾来、幾多の教育改革を経てわが国有数の伝統を有する私立薬科大学に成長し、2024年には創立140周年を迎えます。本学の建学の精神は「愛学躬行 Philosophia et Praktikos;自ら学び実践すること」です。この精神に基づくきめ細やかな教育を通じ、これまでに約24,000人の人材を製薬企業、病院、薬局、大学、行政などに送り出してきました。

薬学教育における直近の大きな体制変換は2006年から開始された薬学教育6年制です。それまでの薬学4年制教育では「薬という物質」に重きを置いた教育がなされてきました。しかし、平均寿命が驚異的に伸びた現代の医療においては、モノとしての薬の理解のみならず薬を服用するヒトに配慮した医療が必要不可欠です。近い将来に予想されるデジタル医療においても、この観点からの対応ができる資質が必要になります。本学ではこのような考えのもと、薬学教養科目から、専門基礎科目、専門科目、実習・演習、病院・薬局実習、卒業論文研究までの6年一貫プログラムを整備するとともに、不断の見直しを継続してきました。6年制一期生が卒業して既に10年が経過し、薬学教育は新たなステージを迎えています。本学はこれからも、チーム医療や健康サポートを目指した連携医療の進展、新しい概念に基づく新薬開発、デジタル時代に対応した医療行政、などの変化に柔軟に対応できる自立した薬剤師の育成に注力します。

同時に、次世代の“研究の京薬”ブランドの確立に向け、大学院課程を通じた若い研究者の育成と将来性のある研究領域の開拓を推進します。京都薬科大学の4年制博士課程は、多様な医療関連分野での将来のリーダー(博士号を持った薬剤師)を育成することを目的に、「基礎薬学」および「臨床薬学」の二つのコースを設置しています。大学院制度の充実に向けた支援や海外を含めた研究機関との連携をさらに進め、本学の学位取得者が国内外での研究活動に安心して従事できる新たな体制の構築を目指します。

本学はこれまで、現教員や諸先輩方と職員との協働により安定した6年制薬学教育環境を作ってきました。しかし、新型コロナウイルスの猛威をきっかけとしてこれからの医療界は大きな変革期を迎えると予想されています。新たな時代に向け、現教職員はもちろん学生および保護者の皆様や諸先輩とともに新時代における京都薬科大学のブランド確立に邁進いたします。次世代に向けた皆様のご支援をお願いさせていただき、私のご挨拶とさせていただきます。

京都薬科大学長