中期計画(2022~2026年度)
これまでの取り組みと第4期中期計画
2020年4月の私立学校法の一部改正により中期計画策定が義務付けられたが、本学では、法制化される14年前の2007年度から5カ年ごとに中期計画を策定し実行している。第1期中期計画(躬行プラン2007.4~2012.3)では、「組織・制度改革」を、第2期中期計画(2012.4~2017.3)では、「制度運用と施設整備」に主眼を置いて推進してきた。
第3期中期計画の策定にあたり、2034年の創立150周年に向けて「先端的研究に支えられ、建学の精神に根差したファーマシスト・サイエンティストの育成を追究する大学」への展開を目指し、「京都薬科大学マスタープラン」を2016年12月に策定した。本プランを受けて、第3期中期計画(2017.4~2022.3)では、Science(科学)、Art(技術)、Humanity(人間性)のバランスのとれたファーマシスト・サイエンティスト育成のための教育・研究体制を確立させるとともに、薬学領域を超えて活躍できる人材の輩出を目指し、6年制薬学のさらなる発展に取り組んできた。
2022年度からの第4期中期計画(2022.4~2027.3)においては、これまでの成果を基盤としつつ、マスタープランを踏まえ、教職協働の共通理念の下「選ばれ続ける大学」として伝統と進化を融合した「京薬ブランド」を発展させていくことに全学的に取り組んでいく。
「京都薬科大学マスタープラン」に掲げる 3つの推進項目
1.先端的研究の展開と教育への反映
先端的な研究を推進し、科学体系をもとにした教育を展開することで、科学的思考能力を備え薬学の発展に貢献する意欲に溢れた学生を育成・輩出する。2.医療界の各領域でリーダーとなる人材を輩出する大学へ
薬学領域のみならず、広い領域で活躍し、将来、各界のリーダーとなるべき「発展的なファーマシスト・サイエンティスト」の育成を行う世界展開を視野に入れた大学への発展を目指す。3.盤石な経営・財政基盤と教職協働による大学運営
教育職員及び事務職員の教職協働並びに学生の積極的な参加を得て、社会をはじめ多様なステークホルダーへ、大学の学術資源を還元する体制を拡充するとともに、本学の存在価値を高め、社会から愛され、必要となる大学となることで盤石な基盤強化につなげる。第1章 先端的研究の展開と教育への反映
(1)高度な研究力に基づく先端的研究の推進
①ネットワーク型(多層連携協働型)共同研究基盤の構築
学内外における共同研究体制の基盤強化は、先端的研究の推進だけでなく、教育への波及効果を高めるためにも不可欠である。先端的研究を推進するための基盤を提供する共同利用施設・センターの整備を進めるとともに、研究ネットワークを充実しオリジナリティーの高い研究成果の創出と本学教育プログラムへの還元を目指したシナジー研究体制(ネットワーク型共同研究)の整備・強化を行う。
②先端的・萌芽的研究の創成と研究支援体制の強化
本学の研究戦略全般を推進するため、研究を統括する組織を明確化することにより、生命現象の理解や創薬研究の端緒につながるような萌芽的研究の創成に向けた環境を整備する。また、若手研究者、大学院生が中心となって最新研究動向を共有し議論する場として研究フォーラムを企画・実施する。加えて、必要に応じて外部リソースも活用し、国際連携研究への対応力も含め、研究支援体制を強化する。
③臨床研究体制の強化
ファーマシスト・サイエンティスト育成のためには、臨床系研究分野・センターのさらなる機能強化が必要である。学外の大学・研究機関との医療情報科学に関する共同研究、病院・保険薬局等の医療機関との連携を通じて、大規模データ解析の基盤的教育・先端的研究プログラムの拡充、卒業研究、大学院研究の充実を図る。学内では基礎研究分野とのマッチングシステムを構築し、臨床と基礎の密接な連携を目指す。
(2)科学的思考を育む教育基盤の強化
①新カリキュラムの策定
本学の教育を通して、分野横断的かつ統合的な科学的思考力、高い倫理観をもって、他者の多様性を前提として協働できる力、社会の多様化と変化に対応できる力を醸成する。一方で、将来にわたって自己研鑽し続ける姿勢を涵養し、卒業後、各領域でリーダーシップを発揮できる人材を育成する。これらの点については、2024年度入学生から適用される新カリキュラム(2024カリキュラム)においても同様に重視しつつ、2024カリキュラムでは、withコロナ社会における我が国の薬学教育をリードする内容とする。そのために、ICTを活用してより教育効果の高い授業形態とし、Society5.0社会に適応できる薬剤師を育成するための独自教育を展開する。
②大学院教育課程の充実と強化
先端的研究並びに臨床研究推進の基盤となる大学院機能の充実・強化の観点から、大学院教育プログラム・カリキュラムの再構築を進め、基礎薬学コースおよび臨床薬学コースの実質的機能化、大学院進学者数の拡充を図る。また、大学院生への経済的支援制度や研究活動並びにキャリアパスに対する支援プログラムを整備、強化することで、大学院における研究支援環境を充実させる。
第2章 医療界で活躍できる人材の育成
(1)多様な観点からの教育の充実と学生支援の拡充
①医療の担い手としての人材育成のための支援の拡充
在学生への支援・働きかけとして、入学前教育や低年次学修支援、国家試験ストレート合格率の向上、キャリア教育・支援を切り口に、学生支援の深化・拡充に向けた取組を実施する。これらは単に「学習」に対する支援だけではなく、学生の縦横の繋がりや教職員との繋がりなど、「人間関係構築」も含まれている。また、医療における薬学の役割の理解や医療人としての自覚を醸成することにより、学修意欲の向上や将来の進路の選択・実現に繋げていく。その他、メンタルサポート等、経済支援や多様化する社会に応じた学生支援などの観点も念頭に置き、計画を推進する。
(2)大学リソースの積極的活用による社会への還元
①人的資源を活用するための強固なネットワーク基盤の構築
本学のリソース、特に「人的資源」の積極的な活用を実現するために、主に卒業生支援やリカレント教育活動を推進する。まずは、卒業生の卒後のキャリアを把握するためのネットワーク基盤の構築(整備)を行う。卒業生とのネットワークを強固にすることで、それを活用した相互支援体制の構築が可能となり、相互交流の場から生まれた成果を社会に還元する。
②多様なステークホルダーとの連携による卒業生支援の発展的強化
特に卒後間もない世代のニーズ等を調査し、それに応える取組の検討を行う。この取組により、大学を取り巻く多様なステークホルダーとの連携による卒業生支援をさらに強化する。生涯教育・リカレント教育活動及び教育研究イベントにおける支援を強化し、大学リソースの積極的活用による社会貢献につなげる。
第3章 大学運営基盤の強化
(1)組織の活性化・運営の強化
①教育・研究の活動力(パフォーマンス)を活性化させる組織体制の構築
個々の教育職員の継続的な教育・研究活動の充実を図り、大学全体の教育・研究の活動力を活性化させるため、教育・研究組織における人員の適正配置、教育研究支援体制の見直し・改善を推進する。
また、想像力豊かな教育・研究活動を展開するために必要となる、多様性を尊重する組織環境の創出・維持のために、他機関との間で職員の交流を推進すると共に、高い専門性の下、多様な視点を内包した教育・研究機関として、学生、職員が活躍できる専門性・ジェンダー・年齢等に関するダイバーシティを備えたキャンパス環境の構築を目指す。
②健全な運営体制の維持・強化
危機管理体制(未然のリスク管理及び危機発生後の対応)の実践的整備を行い、コンプライアンスを徹底し適切なガバナンスに取り組むことにより、受験生や保護者、卒業生等の様々なステークホルダー及び広く社会から信頼される大学であり続けるように社会的信用を一層高める。
また、大学運営の透明性を確保し、情報公開を積極的に行う。
さらに、コンプライアンス推進の前提となる良好なコミュニケーション環境の創出・維持のために、教職員が意見交換のできる場を整備し、健全で風通しのよい大学運営を目指す。
(2)社会動向を踏まえた入学者選抜の検討
①外部要因、学内データを踏まえた入試制度の検討と入試広報の強化
本学の教育課程や輩出する人材像は、卒業生に求められる社会での役割を念頭においたものであり、その役割とは、文部科学省や厚生労働省の提言等をはじめ、我が国の科学技術政策や医療政策等の動向、社会情勢を踏まえたものである。このような本学の教育課程で学ぶに相応しい入学者を継続的に確保していくために、入試制度および入試広報活動に関する点検・評価、改定を含めた見直し、改定後の点検・評価などの一連の過程を適切に遂行する体制を、入学試験データを扱う入試課に加えて、教務課や学生課、進路支援課、IR委員会などの学生に関するデータを扱う部署が連携して構築していく。この遂行過程においては、卒業生を取り巻く社会の動向を踏まえ、入学試験データや学内成績の解析結果に加えて、新たに学修態度を客観的に評価できる指標を検討しつつ、その解析結果を入試制度の検討および入試広報活動の強化に活用していく。