現在6年次生の
大工原 葵さん。これまでの大学生活やこれから迎える国家試験や卒業後の目標についてインタビューしました。
ー本学に入学した理由を教えてください
まず、薬学部を目指したきっかけは主に2つあります。
1つ目は、中学生の頃にダイエットに夢中になって、体型管理のために運動と食事に気を遣っていた時期に健康や体について興味を持つようになり、医療・栄養関係の仕事につきたいなと考えたことです。家庭科の教科書の食品の栄養一覧表を熟読したり、お菓子の成分表を確認したりして、栄養素が体内でどのような経路を辿り、体型にどのような影響を与えるかを考えるのがルーティーンになるほど熱中していました。
2つ目は、製薬企業の研究職の方に「新しい価値を発見したい、化学や生物が好きだ」という話をしたところ、将来は製薬業界や薬剤師を目指すのも向いているのではないかと教えてもらったことです。高校時代まで薬学部と栄養学部で悩んでいましたが、高校時代に最も熱中した単元が無機・有機化学であったことや、薬剤師国家資格は6年制薬学部の卒業が必須であるため、より専門性が高く、独学での習得が難しい学問を専攻するために薬学部に決めました。
その中でも京薬を選んだ大きな理由は、「授業の質や生徒の評判」・「キャリアの幅広さ」・「単科大学」という魅力があることです。授業の質や生徒の評判は、国家試験合格率の高さに加え、地元の薬剤師の数名の方に京薬についてお伺いしたところ、「誰もが京都薬科大学は真面目で人柄がいい」と好評だったため、勉強面でも交友関係でも過ごしやすい環境だと考えました。キャリアの幅広さについては、歴史が深く、病院・薬局・企業など医療に関わる幅広い分野に多くの卒業生を輩出している実績があることから、カリキュラムの充実や就職関連のノウハウが豊富にあることを期待しました。単科大学という点は、全員が同じカリキュラムで進められるので、授業やテスト、サークルに集中しやすく、メリハリを持って学生生活を楽しめる点に惹かれました。また、学生数が1学年定員360名なので、切磋琢磨できる仲間が多いことも魅力に感じました。
本人:下段右端
ーこれまでの大学生活で印象に残っていること
勉強面では、特に有機化学の授業が楽しかったです。高校で習った化合物の構造や反応経路の詳細を学べたことに加え、単なる暗記に留まらず、官能基の性質や反応経路を応用して、薬としての作用や効能にまで発展させるなど、新たな可能性を考察することも興味深いと感じました。有機化学だけは、純粋な興味で勉強をすることができたので、別の科目で行き詰まった時のリフレッシュ科目としていました。
一方で大変だった科目は、薬理学や公衆衛生学などの暗記量が多い科目です。薬の名前はカタカナで覚えにくいものが多く、もともと人物名や物の名称の暗記が苦手だった私にとって、薬名とその作用機序(薬が生体内で目的の効果を発揮するまでの過程や仕組み)を結びつけることに苦戦しました。そのような科目では、テスト期間の1ヶ月前から勉強を始めて、自主学習を5時間、休日は10時間して対策をしていました。勉強方法は、授業で配られる資料と教科書を隅々まで読み込み、理解が難しい部分は受験生の時にしていた試験対策ノートを作り、書き出すことによって情報を整理していました。また、先輩や同級生と情報共有したり、わからない部分を教え合ったりして、お互いに協力できたことも全授業のテストに合格できた鍵だったと思います。
また課外活動では、LODというダンスサークルに所属していて、現在も6年次生ですが、週2回活動しています。ダンスは大学から始めて、ジャンルは
WAACKとGIRLS HIP HOPを兼務しています。現在は新入生歓迎イベントや学祭に向けた練習に加え、外部のダンススクールへ体の使い方や振り付けなどを習いに行き、個人の技術力向上にも励んでいます。今まで先輩にお世話になり、頼もしい同期やかわいい後輩に支えられてきたため、自分が持てる全ての知識や技術を後輩に伝えて、卒業までに少しでもサークルに還元したいです。卒業した後も、ずっとダンスは続けていきたいと考えています。
他にもアルバイトの掛け持ちや、研究、サークルなど毎日いろいろな予定を詰めていますが、「やらずに後悔よりやって後悔」「人生の実績解除 は多い方がいい」という信念の下、挑戦心と好奇心を重視してメリハリのある大学生活を送っています。
ー研究活動について
私が所属する生薬学分野では、薬用植物由来成分を利用した抗がん剤の開発研究を行っています。分野では、植物性科学研究、遺伝子工学研究、分析化学・有機化学的研究、薬理学的研究の4班で研究を行っており、私は薬理学的研究班としてがん細胞の増殖を抑制したり、死滅させたりする作用を持つ物質である抗がん活性物質の作用メカニズムの解析に取り組んでいます。具体的には、生細胞イメージングシステムを用いて、細胞の形態変化の様子を経時的に顕微鏡で観察し、薬用植物由来成分が細胞分裂のどのタイミングで働くかを研究しています。有機化学的なサイエンスの領域と薬理的な臨床領域を繋ぎ、一連の流れを研究室内で一貫して探索できる分野に興味があったので、この研究室を選びました。
ー就職活動について
5年次生で行った薬局・病院の実務実習の際に、現在の医療技術では十分に対応できていない病気という意味のアンメットメディカルニーズ領域の病と向き合う患者さんと関わり、薬の開発に携わりたいという思いができたので、製薬企業の開発職を志望して就職活動をしていました。開発職の募集人数はどの企業も少なく、倍率が高かったので、幼い頃からの自分の嗜好・行動パターンを振り返り、自己分析を徹底して、自身の強みを理解しました。進路支援課でも対面面接の対策をしてもらったり、不安なときに相談を聞いてもらったりしました。また、将来はグローバルに活躍したい想いが強いため、5年次生から実務実習と並行してTOEICの勉強も始めました。結果として、半年間でL&Rスコアを400点得点アップさせました。就職活動時では、周りの就活生の方がスコアとしては高い場合も多かったですが、面接時にはグローバルに活躍したいという意力や熱意、伸びしろをアピールしていました。現在は、簡単な日常会話にもついていけるようにAI学習アプリを活用してスピーキング対策も継続しており、今後も語学力向上に励む予定です。
ーこれから迎える国家試験について
直近の目標は8月までに物理・化学・生物の過去問題集を1周終えることです。参考書を読み込み、不明点は先生に質問し、問題集を解くことを繰り返しています。5月の模試では、勉強をしていた物理や法規・衛生等の科目は高得点だった一方で、あまり手を付けられていなかった薬理学や薬剤学など暗記が多い科目の点数があまり良くありませんでした。そのため、7月下旬に控える定期試験勉強と並行して国試対策に励み、8月以降は苦手な暗記科目を重点的に勉強していく計画です。カリキュラムにある「アドバンスト薬学」の講義や対策資料集も活用していきたいです。現状、暗記科目の点数は悪かったですが、きちんと勉強した科目は確実に得点でき、やればできると自信に繋がったため、自分を試す意味で、次回の模試が楽しみです。
ー今後の目標は?
直近の話では、まずは京薬祭でサークルでのダンスのステージ発表があるので、成功をさせることと、卒業試験及び国家試験に合格することです。大学卒業後は、製薬企業の開発オペレーション職に就く予定で、世の中にある治せない病を1つでも多くなくすことが目標です。少し前まではがんは治せない病とされていましたが、最近は世間一般でも治せるイメージが少しずつ付き、前向きに治療に挑む方が増えてきていると感じています。同じように今は治せないとされている病でも、治療薬を確立させることで、患者さん自身やご家族の方々が将来のことを明るく話せる社会を目指したいです。非常に大きな目標なので、他職種や社内外のステークホルダーと円滑なコミュニケーションを図って協働していきたいです。
ー本学志望者へメッセージ
大学の魅力は偏差値などの数字だけでは測れません。私もそうでしたが、数字やブランドにこだわってしまうと、視野が狭くなってしまいます。ですので、先輩や身近な大人に相談したり、オープンキャンパスなどで実際に大学に行って在学生に話を聞いたりして、自分の価値観や将来像と照らし合わせて決めてほしいと思います。さらに最近は受験方法が多様にあり、得意な科目で勝負できる方法が見つかるはずです。自分に合う試験方法を見つけて挑んでください!
また、高校3年間は時間が一瞬ですが、楽しさも苦労も多く、勉強や将来のこと、人間関係など、様々な悩みに直面すると思います。友達との遊ぶ予定や学校行事を楽しむ余裕もなくなるほど不安感に追われる日が続くかもしれません。ですが、その時苦労した経験や大事な時期を共に乗り越えた人たちとの繋がりが、大事な時に踏ん張れる原動力になっていると実感しています。そのため、高校生の皆さんには、大変な時に何かを諦める前に、一度両立してみる選択をすることをお勧めします。高校生活の一瞬一瞬を大切に過ごせるよう、心から応援しています!
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