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2025年11月4日(火)、多様化する医療において複雑化する患者対応のためのチーム医療を実践できる人材育成の一環として、同じ山科区にある京都橘大学と合同で多職種連携教育(IPE:Interprofessional Education)を開催しました。 このIPEは毎年京都薬科大学薬学部薬学科5年次生、京都橘大学看護学部看護学科、健康科学部理学療法学科および作業療法学科の4年次生を対象に実施している選択制のプログラムで、今年度からは新しい取り組みとして京都橘大学の健康科学部救急救命学科および臨床検査学科も加わり、より学科を拡大して行われました。当日は各学科から5~10人ずつ計33人が参加し、両大学の教員により作成されたシナリオ事例についてグループディスカッションを行いました。 今年度のプログラムでは、119番通報からの救急隊による対応・搬送および病院における救急外来・ICUでの治療までのシナリオ《フェーズ1(救急搬送~ER・ICU)》とICUから一般病棟に転棟してから退院に至るまでのシナリオ《フェーズ2(一般病棟~退院)》について、各学科の学生が専門知識を駆使してディスカッションを行いました。 フェーズ1では、救急救命学科の学生による傷病者への対応およびバイタルサインの測定、病院や医師との連携についてケーススタディを実施。その後、看護学科や臨床検査学科の学生による必要検査項目の検討、また検査結果をもとに薬学科の学生も交えて必要な処置や医薬品の選択・提案についてディスカッションを行いました。 フェーズ2では、フェーズ1で救急搬送された患者が一般病棟へ転棟し退院するという設定で、看護学科、理学療法学科、作業療法学科、薬学科の学生でディスカッションを行いました。シナリオでは患者の主訴や入院中の検査結果および治療方針、退院に向けてのカンファレンス、退院時処方などの情報の他に、患者の家族構成や自宅の間取りも含めた住宅環境など具体的な情報が設定されており、患者の自立に向けた支援や環境改善、服薬管理などそれぞれの目線からディスカッションを行いました。さらに、身体面や精神面だけでなく、経済面についてもディスカッションしていました。 最後のまとめとして、フェーズ1およびフェーズ2の各グループで議論した内容をまとめて合同発表を行い、お互いのフェーズでの議論内容について情報を共有したことで、他職種の視点や考え方、フェーズの違いによる役割の変化、チーム医療としての医療支援について理解を深めることができたようです。 最後の講評では、両大学の各学科の教員より「実際の現場でも各職種の専門性を発揮して、患者の治療や支援に協力してほしい」、「他職種の強みを理解したうえで、積極的に連携してチーム医療を実現してほしい」、「フェーズが変わると各職種の役割も変化するので、各フェーズにあった役割を想定してチーム医療に貢献してほしい」などのフィードバックがあり、学生たちは真剣に耳を傾けていました。 本学は、今後も京都橘大学と連携を深めながら、プログラムの充実と継続を図り、より専門性と実践能力の高い医療人の育成を目指していきます。