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がん治療の新しい可能性を追い求めて
博士課程2年次生 田中 潤奈さん【在学生インタビュー】

生化学分野で研究に励んでいる大学院生の田中たなか 潤奈じゅんなさん。学部生の時に研究の楽しさを感じて大学院へ進学をしました。今回は現在進めている研究内容や今後の目標・夢についてお話いただきました。

ー本学に入学した理由と大学院に進学したきっかけ
 幼いころに薬を使うと病気がみるみる改善していく凄さを体感して、薬剤師になりたいという夢を持つようになりました。また、理科の実験が好きだったことから研究をしたいとも考えていました。中学校の生物の授業で細胞分裂を観察した時に、その神秘さに衝撃を受けたことを今でも覚えています。
 そこで進路選択の時に、薬剤師を目指すことができて、研究にも力を入れている京薬が合っていると思い、入学を決めました。さらにオープンキャンパスの時に聞いた卒業後の進路の幅が広いことも決めての一つになりました。
 大学院へ進学した理由は「研究が好き」という気持ちでした。3年次生の時に分野に配属されて研究をしていくうちに、研究がますます好きなり、もっと突き詰めたいと思って大学院に進学をしました。誰もやったことのないことをしていること、先駆者になれることに研究の面白さを感じています。

ー大学院での過ごし方
 自分の研究を進めるのが主ですが、研究の合間に学部生が行う実験をサポートしています。だいたい朝9時ぐらいに大学にきて、その日の実験のスケジュールを確認してから始めています。実験に使用する薬剤を細胞に処理する時は待ち時間があるため、その間に他の実験を進めたり、学会の発表資料などを作成したりしています。
 博士課程1年次生の時は大学院の講義や学振の申請などと同時に研究を進める必要があり、初めてのことに慣れるので精いっぱいでしたが、今では自分のペースをつかむことができています。院生ならではのことだと思うのは先生や先輩・後輩の研究の手伝いをする機会が増えることですね。その時に他の研究者の違った視点や実験方法を知れるので、自分の研究にも生かすことができます。


ー現在の研究テーマ・内容
 学部生の時から同じテーマで、がん細胞の細胞分裂のメカニズムを明らかにする研究をしています。通常の細胞は細胞分裂を繰り返しているといつか死んでしまいますが、がん細胞は不死でいつまでも細胞分裂が起こり増殖します。その細胞分裂を助けているたんぱく質を特定し、新しい治療標的にすることでがん治療に繋げることができないか研究を進めています。

     


ーこれまでの研究で嬉しかったこと・苦労した点
 博士課程1年次生の時に学部生の時に積み重ねた成果をもとにして、論文として研究成果を発表できた時はとてもうれしかったです。研究はうまく結果が出ないことも多く、苦労することが多いですが、そこも研究の面白さの一つかなと思います。なかなか上手くいかない時は、好きなアクション系の映画を見て、リフレッシュをして取り組んだりしています。

ー今後の目標・夢は?
 直近では卒業に向けてまず、今の研究を大きい成果につなげることが目標です。がん細胞の細胞分裂を助けるたんぱく質にアプローチするために、安全性が確認されていて、開発期間の縮小ができるメリットがあるということを考慮して、既存薬が使用できないか考えています。具体的にはシンバスタチン※1に着目して研究を進めていて、将来的にはがん治療に使用できるように成果を出したいです。
 卒業後は企業の研究職に就き、新しい薬を生み出したいと考えていて、その目標に向かってスキルアップもしていきたいです。企業によっては海外で研究できることもあるようなので、機会があれば挑戦してみたいと思っています。
※1血中コレステロール値を下げる薬

ー本学志望者(学部・大学院ともに)へメッセージ
 職業が薬剤師だけではないこと、企業や公務員などいろいろな職種があるので幅広い視野で見てほしいです。そして大学院もぜひ検討をしてみてください。特に、まだ女性の研究者が少ないなと感じるのでこれから仲間が増えていったらいいなと思っています。女性研究者向けの助成金などの支援も増えてきているのでぜひ調べてみて、進路の選択肢の一つとして考えてもらえるとうれしいです。

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