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医療従事者として勤務しながら感染症疫学を極めたい
博士課程4年次生 沢田 佳祐さん【在学生インタビュー】

2022年に社会人大学院生として本学大学院へ入学された沢田さわだ 佳祐けいすけさん。病院に勤務しながら本学大学院で研究活動を行い、博士課程在学中に5本の論文を執筆されました。大学院へ入学されたきっかけや普段の生活スケジュール、今後の目標などをお聞きしました。

ー経歴について
 他大学の薬学部を卒業後、大学病院へ就職してレジデントから職員になりました。その後、中小規模病院へ異動し、現在8年目になりました。もともと高校生のときには薬剤師になる具体的なビジョンがあったわけではなく、自分が習得していて得意な科目で受けられる学部を探したところ薬学部へ進学することを決めたのですが、今となっては選んでよかったと思っています。

ー社会人になってから本学大学院へ入学した理由
 現在の中小規模病院で働くようになって2年目の時に国の加算制度に変更があり、AST(抗菌薬適正使用支援チーム)を立ち上げることになりました。その専任者に指名され、0からスタートするときに知識を得るため様々な勉強会に参加する中で村木教授と出会い、アカデミックに興味をもちました。その時から研究の世界に興味はありましたが、どこか遠い存在だと思っていた頃、COVID-19が流行。感染症対策の対応に追われる中、未知のウイルスに対抗するために自ら論文を読んでエビデンスをもとに判断するという経験を通じて、論文というものに興味をもちました。2021年にはワクチン接種後の副反応に関する論文を執筆し、自らデータを分析して、エビデンスを広く発信するということの大切さを実感したことがきっかけで大学院進学を決意しました。そして村木教授と研究や今後のビジョンなどをディスカッションさせてもらい、2022年4月に本学大学院へ入学しました。


ー現在の研究内容
 研究内容はいくつか柱を立てて、中小規模病院で働いている自分ならではの研究も行っています。特に病院で行っているASP(抗菌薬適正使用支援プログラム)に関しては患者さんの入院期間や抗菌薬コストの削減、また薬剤師にフォーカスを当てて診療録記載内容の分析などを行いました。その他にもグループ病院だけでなく全国の病院のデータを分析したり、地域の在宅医療で訪問を行う薬局薬剤師による抗菌薬適正使用の実態に関する調査分析などを行い、博士課程在学中に5本の英語論文を執筆することができました。データ分析や論文執筆はもちろん、興味があるテーマになんでも挑戦させていただき、研究をサポートしていただいた村木教授には本当に感謝しています。

ー勤務している病院での業務内容  
 病院では救急外来を担当しているので、医師と協同して初期治療にあたっています。また立ち上げから関わっているASTの活動も後輩薬剤師に引継ぎをしながら、サポートを行っています。その他、関連病院における抗菌薬使用動向や耐性菌発生率の集計・管理、病院の感染対策委員会の運営支援や後輩薬剤師の育成、抗がん剤の無菌調製にも携わっています。病院での活動が研究につながっていますし、その成果が各施設にとってプラスになるように心掛けています。

     


ー研究と仕事の両立について
 週5日は病院で勤務し、日曜日の当直明けの月曜日に本学研究室で研究を行っています。
 研究も論文執筆もすごく充実していて楽しいですが、体力的には年齢を重ねるとつらいだろうなというのは感じています。また、臨床現場の最前線に立ちながら、限られた時間の中で研究を進めることもプレッシャーでしたが、勤務先での環境も恵まれており、両立することができました。もちろん、社会人の場合は業務の都合、周りの理解など様々な理由で大学院進学は難しいというケースもあるかと思います。それでも研究や論文によって、きちんとエビデンスをもったうえで医師や患者さんに提案し、それがプラスになることがやりがいにもなっています。

ー今後の目標について
 2026年3月に博士号を取得し、来年度からは感染症疫学をさらに極めるため、海外留学に挑戦したいと考えています。海外での学びを日本の臨床現場に持ち帰り、全国の病院で奮闘する薬剤師の道標となるようなエビデンスを発信していきたいと考えています。そして、日本全体の抗菌薬適正使用のボトムアップに貢献できる存在を目指します。

ー在学生、本学大学院志望者へメッセージ
 自分は学部生のときは遺伝子研究を行っていましたが、それがどのように臨床につながっているのか当時はあまり実感できませんでした。病院に就職後、初めていろいろな研究成果が臨床現場で活かされることを感じて、大学院での研究意義を実感しました。もし学部生のときにもっと知っていたら、迷わずに大学院に進学していたと思いますが、臨床現場で働いているからこそ研究成果がいかに重要かということも分かるようになったので、どんな道を選んでもやる気さえあればなんでもできると思います。
 大学院で研究に取り組んだ4年間はとても充実していて、臨床現場での理解度も変わりますし、患者さんにとってプラスかどうか自分で判断して提案できるようになりました。社会人として進学する場合、時間のやりくりは大変になりますが、モチベーションと強い意志をもって挑戦してほしいと思います。

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