「第28回
風花随筆文学賞」で一般・高校生の部合わせて4000点以上の作品の中から一般の部で最優秀賞に選ばれた
木村留奈さん。応募したきっかけや受賞作品への想いなどをお聞きしました。
―応募しようと思ったきっかけは?
もともと小学生の時から文章を書くことがとにかく好きで、今までもいろいろなコンテストでテーマに合わせた作品を応募してきました。偶然見つけた風花随筆文学賞で、テーマは自由ですが募集要項に”人とのふれあい”というキーワードがあり、今までの経験の中で自分の感じたことにぴったりだったので、エッセイを書きました。
―どのような作品を応募しましたか?
中学生の頃から茶道を習っていて、現在も月に1回お稽古に参加しています。茶道に取り組む中で、周りの方々と自分を比較して落ち込んでしまい、茶道を辞めたいと思った時に、お稽古の先生がしてくださった“気遣い”が茶道を始めたきっかけを思い出させてくれたということがあり、随筆として書くことにしました。コンテストの規模などは気にせずに応募していたので、受賞の連絡をいただいたときにこんなに大きな賞だと知ってまさに寝耳に水でした。
―制作にあたって印象に残っていることや苦労したことはありますか?
10年 続けてきた茶道ですが、ただお茶を
点てるだけではなく、一つ一つの所作や道具にきちんと意味があるのだと日々気付かされることばかりです 。限られた文字数の中で、その専門的な知識を説明するのではなく、どのように書いたら文字だけで情景や感情が伝わり、人の心を動かす文章にできるかすごく考えました。また、自分の意見は述べながらも誰かを否定したり傷つけたりするようなことのない文章を書くように意識しているので、ネガティブな印象や誤解を招くような表現がないように気を付けていました。
作品を書き上げて自分で読み返したときに、当時の感情を思い出して、感動したり涙がこぼれそうになったりすることがあるのですが、そういう時は良い作品が書けたという実感があります。今回の作品はまさにその実感があり、自分の中の感情をそのまま表現できたことで心にストンと落ちた感覚でした。
―学業との両立について
私の場合は、「両立しよう」と意識するよりも、まずはやりたいこと、やるべきことを全部カレンダーに書き込んでいきます。その残った時間で何ができるかを考えて、効率よくできるように管理しています。カレンダーのアプリを使っているのですが、いろいろな予定がたくさん埋まって、カラフルになっていくのが好きです。
茶道のお稽古は月に1回ですが、それ以外で文章を書いたり、アルバイトも複数掛け持ちしたりしています。京都で外国人観光客に茶道を紹介する活動もしていて、日常的に英語を使えるので私自身もとても勉強になっています。
―本学に入学した理由は?
実は、小学生の頃から算数と理科が苦手で、中学・高校でも化学は一番苦手でした。小学5年生の時に親戚から中学受験を勧められ、例えば薬剤師になったら将来安定だと言われました。ただそれだけだったのですが、自分の中で「薬剤師」というキーワードはずっと心に残っていたように思います。その親戚が病気で入院することになり、お見舞いに行った時に抗がん剤で治療するところを見て「薬の力ってすごい」と中学生の時に実感し、薬学部を目指すように。化学はどうしても苦手だったので、特に重点的に学習しました。
中国地方の出身ですが、いろいろなことに挑戦できる環境がある都市部の大学に進学したいと考えて、京都を選びました。その中でも京薬に進学して、毎日が充実しているので選んで良かったと思っています。
―将来の夢、今後の目標は?
当初はもともと薬学部を目指すきっかけにもなった病院薬剤師になりたいという目標がありました。しかし、薬学以外のことも知りたいという思いから、1年次生の冬から1年間ベンチャー企業の長期インターンで営業職を経験したことで、製薬企業でのMRにも興味を持つようになりました。これからも様々なことに挑戦しながら、自分のやりたいことを見つけたいと思っています。
また、先ほどお話しした外国人に茶道を紹介する活動を通じて、英語が世界共通言語ではないということを実感し、第三言語を習得したいと思っています。語学はもともと好きだったのですが、特にフランス語の魅力に惹かれていて、現在独学で勉強しています。今回副賞でいただいた賞金でフランスに行って、現地でコミュニケーションを取りながらフランスの文化に触れてみたいと思っています。
―本学志望者へメッセージをお願いします
もしやりたいことがあればその気持ちに従うべきだと思います。私自身、化学が苦手でしたが、薬学部へ飛び込みました。今も一生懸命勉強している毎日ですが、今自分の中にあるものではなく、これから得られるもの、成長した少し先の自分をイメージして努力することが大切かなと思います。薬学部は忙しいというイメージがありますが、自分次第でアルバイトや課外活動などもできます。京都という立地でいろいろなことに挑戦できる環境も整っているので、ぜひ皆さんもやりたいことをイメージして挑戦してみてください。
受賞作品は風花随筆文学賞のWebサイトよりご覧いただけます。
URL:
https://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/bungaku/category/kazahana/33242.html
過去の掲載インタビューについては
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