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人の生活環境と健康を守るスペシャリストを目指して
小池 真生子さん【卒業生インタビュー】New

2018年に本学を卒業された小池こいけ 真生子まおこさん。大学で学んだ公衆衛生学に興味を持ち、今は大阪健康安全基盤研究所で研究員として活躍をされています。大学時代の過ごし方や現在どのような仕事をされているのかをお伺いしました。

ー本学に入学した理由
 親戚に京薬の卒業生がいたこともあり、もともと京薬のことを知っていました。そして薬剤師に興味を持ち始めたのは、中学3年生の学年末考査中にインフルエンザに罹ってしまった時です。薬剤師の親戚に、試験中に薬の効果が現れるよう薬を飲むタイミングを教えてもらって、なんとか別室で試験を乗り越えることができました。その時に薬剤師は薬の知識を生かして人の役に立つことを身をもって感じ、私も誰かの役に立ちたいと思うようになりました。
その後も気持ちは変わらず、大学受験の志望校を考えるタイミングで、まず初めに京薬のオープンキャンパスに参加しました。設備が整っていたことと当時の学長がお話しされた「ファーマシスト・サイエンティスト」の言葉が心に残り、第一志望校に決めました。また、学祭にも参加して、雰囲気が良かったのも印象に残っています。

ー大学生活での思い出は?
 思い出に残っているのは4年次生の時の初めての学会発表です。公衆衛生学分野に所属して、「茶中に含まれる3,6-dinitrobenzo[e]pyreneの定量および茶の抗変異原性について」をテーマに、大気中や土壌中に含まれるがんの原因となる物質が根や葉を通して茶葉に蓄積され、それらが煎じた茶に移行するのか、茶はそれを抑制することができるのかを研究していました。発表するためのポスターの制作や質疑応答の練習などを研究室の仲間と励まし合いながら行ったことが一番印象に残っています。実際の発表では思うように答えられない質問もあり、相手に分かりやすく説明するにはどうしたらよいのかを考えるきっかけにもなったので、緊張しましたが貴重な経験になりました。
 その他にも、一生懸命頑張った勉強と友達と過ごす何気ない日常が思い出に残っています。定期試験では緊張してしまうタイプだったので、毎日コツコツと授業や勉強に取り組んで、不安にならないようにしていました。6年次生の後半には、国家試験の対策に明け暮れていました。でも、友達と授業を受け、一緒に学食を食べて、午後からまた授業を頑張るという日常がとても楽しかったです。入学当初は学籍番号が近い人と仲良くなって、3年次後期から研究室に配属されるとそこでも交友関係が広がっていって、卒業した今でも仲良くしている友達もいます。


ー現在の仕事内容
 生活環境課という部署で、主に水質分析や環境微生物、環境放射能に関する業務に携わっています。水質分析については、水質基準項目のうち3つの項目を担当し、水道水質基準に適合しているかを検査しています。環境微生物については、公衆浴場や冷却塔などの環境水を対象にレジオネラ属菌の検査を行ったり、水道水のもとになる原水中のクリプトスポリジウム※1およびジアルジア※2の検査を行っています。環境放射能については、雨水や塵などの環境試料を対象に放射能を測定しています。住民の生活の安全に関わっているため責任を感じますが、同時にとてもやりがいも感じます。
 他には、調査研究にも取り組んでいます。大学の研究は自分で課題を見つけて研究を進めていきますが、調査研究では、所属している課に準じた研究や、行政に還元できるかどうかという観点で研究をします。例えば、今ある分析方法をさらに簡単な方法でできないか検討するような研究です。研究成果を発表する学会にも参加していて、コロナ禍を除くと入職してから毎年1回は参加をしています。昨年は日本防菌防黴学会で発表もさせてもらい、今後の研究の方向性をディスカッションできたり、他の研究者の方の発表を聞けたりしたのでよい経験になりました。
 1日の仕事のスケジュールは、水質検査を軸に予定を組んでいます。検査がない時は今後の検査の準備や、調査研究を進めたり、検査の精度を保つための精度管理の試験を受けたりもしています。
※1.2 塩素消毒が効かない下痢の原因となる原虫

     


ー大阪健康安全基盤研究所を志望したきっかけ
 入学した理由にもあったように薬剤師に興味があって入学しましたが、2、3年次生で履修した公衆衛生学で生活環境と健康のことを学び、身近に感じるテーマであったため興味を持ちました。研究職を目指していたというよりも、病気になった人や薬を必要としている人だけでなく、住民全員の健康を支えられる公衆衛生に携わりたいという気持ちで就職活動をして、大阪健康安全基盤研究所に入職しました。
 ただ、早めに進路を決めてしまうと視野が狭くなると思っていたので、5年次生の病院・薬局実習の時には薬剤師として働くことも考えながら就職活動に取り組んでいました。

ー就職活動へのアドバイス
 薬学部の就職活動は就職先が決まるタイミングが様々だと感じます。私自身もそうでしたが、決まるタイミングが遅いと焦りが出てきます。でも、早く就職活動を終わりたいからといって諦めることはせず、目指しているものに向かって頑張ってほしいです。
 進路支援課では面接や小論文の対策もしてもらいましたし、ちょっとしたことでも相談に乗ってもらっていました。私は先輩の就職活動の内容が書かれた就職試験内容報告書を読んで勉強になったので、就職活動をしている方、これから控えている方はぜひ活用してほしいです。既に就職先が決まっている方も、これから働く場所の参考になるので見てみるのもよいと思います。

ー本学志望者へメッセージ
 京薬は関西だけでなく、いろいろな地域から来ている学生がいて友達の輪も広がります。また、研究活動も3年次後期から始まるので、研究を通じた仲間を早めから作ることができます。
 薬学部と聞くと、薬の勉強をするだけのイメージが強いかもしれませんが、京薬では公衆衛生学をはじめ、機器分析学や放射薬学など幅広い学問を充実した環境で学ぶことができます。そして研究活動を通じて様々な実験器具の利用、学会での発表も経験できるので、その経験の分、進路選択の幅が広がることにも繋がります。薬のことだけでなく、幅広い学び・経験ができてとてもよかったと私は感じています。
 最後になりますが高校生活を楽しみながら、将来に向けて頑張ってください!


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