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統合薬科学系 高田和幸教授らの研究成果が書籍(講談社BLUE BACKSシリーズ)で紹介されました。

 統合薬科学系 高田和幸教授らの研究成果が、R・ダグラス・フィールズ著『もうひとつの脳 ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」』(講談社BLUE BACKS)で紹介されました。
 ニューロン(神経細胞)とともに脳を構成しているもう一つの細胞(グリア細胞)。近年の研究からグリア細胞は、神経細胞を支えるだけでなく、脳の発達、免疫、神経シナプスの形成・剪定といった神経回路の可塑性など、個体の生涯に渡って脳機能そのものをダイナミックに制御する細胞であることが次々とわかり始めました。著者のR・ダグラス・フィールズ氏は、ニューロン-グリア相互作用、脳発達および記憶の細胞機構の世界的権威として知られる神経科学者であり、本書では、脳を理解する上で、このようなグリア細胞がいかに重要であるのか、わかりやすく解説されています。
 今回紹介された研究成果は、アルツハイマー病の原因と考えられる「β-アミロイド」を脳内から除去する方法として、ミクログリア移植の有効性について示唆したものです。本研究は、病態生理学分野において滋賀医科大学、札幌医科大学との共同研究として実施され、2007年の論文で発表されました。

・紹介された高田教授の研究に関する原著論文
Takata, K., et al. (2007) Microglia transplantation increases amyloid-β clearance in Alzheimer model rats. FEBS Lett. 6:475-678.
https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1016/j.febslet.2007.01.009

 さらにこのコンセプトをもとに、高田教授や病態生理学分野(主任芦原英司教授)の河西翔平大学院生(D4)は、臨床腫瘍学分野(中田晋准教授)ならびに臨床薬学教育研究センター(地嵜悠吾助教、矢野義孝教授)と共同で詳細な数理統計解析を実施し、骨髄幹細胞から分化誘導したミクログリア様細胞の移植でも同じく有効性が得られることをマウスで見出しました。間もなくこの成果も公開されます(J. Alzheimers Dis., in press)。統合薬科学系は、研究分野の垣根を超えた共同研究基盤の構築のため本年度より新設され、新たな生命現象の発見から次世代医療の創造を目指して研究を開始しています。高田教授らは、今後iPS細胞やES細胞を用いて本研究についてもさらに進めていく予定です。
 
※本書は図書館(1F 新着コーナー)にあります。ぜひご覧ください。
 
 

 

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