6年制薬学部での学び
より深く、より広く学び、実践・研究の質を高める
医療技術の高度化や医薬分業制度の拡大に伴い、学校教育法および薬剤師法の一部が改正され、6年制の教育が必須となりました。そのため、本学は2006年度入学生から、薬学教育6年制を採用しました。
これにより、従来の調剤業務をはじめ病院等におけるチーム医療の中核を担うほか、服薬指導や薬歴管理、薬害防止のためのリスクマネジメント等への働きかけも可能にします。もちろん、研究者として企業、研究機関、行政、教育研究等で活躍できる道にもつながっています。
ここでは、2015年度以降の入学生対象の新カリキュラムの概要をご紹介します。
カリキュラムの概要
薬学の最先端を研究する教授陣の実績を教育の場へフィードバック。
その知識・ノウハウを基盤に6年間の学びを展開。
一層充実した新カリキュラム
初期導入教育の充実
問題発見・解決能力の育成、豊かな人間性やコミュニケーション能力の修得を目標に、基礎演習ではSGD※1 やPBL※2 を経験する。また、早期体験学習ではSGD※1 の実践によって目的を明確にさせ、病院・薬局見学、企業見学等に臨む。さらに基礎演習、情報処理教育や新たに設定した基礎科学実習をリンクさせ、文書作成の基礎、プロダクト作成のためのディスカッションおよびプレゼンテーションの基礎を修得する。
ヒューマニズム教育の充実
継続的な科目配当によって、薬剤師や薬学研究者等の社会的な役割、生命倫理・医療倫理の基本的態度の確立を図るとともに、患者のみならず他の医療従事者との連携に向けたコミュニケーション能力を修得する。
IT、数学、統計の体系的カリキュラム
IT技術や統計解析を中心としたデータ解析を体系的かつ継続的に学習することによって、基礎薬学研究、医薬品開発や臨床治療研究といったさまざまな場面でのエビデンスに基づいた論理的評価法を修得する。
外国語の強化
グローバリゼーションの進展から高い英語能力が求められている。一方、薬学も含めた理系領域で求められる英語は一般社会で使用される英語とは異なった特徴を有する。そこで、基礎的な科学英語の履修を出発点にして、薬学英語および医療現場で必要な英会話能力を修得する。また、一般的な英語に加え、初修外国語を基礎とした異文化修得科目を開講することによって、深い教養を身につける。
「化学」の基礎から「創薬」まで
高校での化学履修に連携した基礎的な化学の履修を出発点にして、薬学の基本である化学を体系的に修得する。これらの知識を基盤にアドバンスト創薬学を修得する。
「生命科学」の基礎から「腫瘍細胞生物学」まで
生命現象や疾患・治療法の理解のために必須である生命科学や細胞生物学の体系的な履修のために、生命科学、生化学、解剖学、生理学や細胞生物学の密接な連携を図ることによって、確固たる生命科学の基盤を形成する。これにより生物系応用科目の理解を深める。また、これらの修得を基礎として、腫瘍の細胞学を深く理解する。
総合薬学研究でのコース教育の導入
3年次までに修得した知識・技術・態度を基盤として、分属された分野・センター等で先端的研究に触れ、実践する。その後、学生のニーズに応じて探求薬学コースと実践薬学コースに分かれ、総合薬学研究を継続することにより、基礎薬学研究を含めた医薬品の開発からその適正使用にわたる広範な領域での問題発見・解決能力を醸成する。特に実践薬学コースでは、薬学部卒業生が望まれる職能のうち、実務実習のみでは修得困難な内容を、演習や体験プログラムによって学び、その職能への関心や意識を高めることも目的としている.これらコースにおける学習では、実験的および調査的研究に加え、PBL※2 やSGD※1 を積極的に取り入れる。また、コミュニケーション能力やリーダーシップ能力を高めるために実践的に研鑽を積む。
※1.SGD:Small Group Discussion
※2.PBL:Problem Based Learning